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3. Hackerson Journey

私たちは今回のHackersonのテーマである、Vibe Codingを駆使し7日間で設計から機能実装まで駆け抜けました。AIツールを積極的に活用した「AI駆動型開発」で、AIツールを単なる補助ではなく、開発プロセスの中核に据えて行いました。

3-1.AI駆動型開発の実践

わずか7日間という限られた時間の中で、私たちはアイデアをできるだけ多くの機能を使って形にすることにこだわりました。その成功の鍵は、ChatGPTには仕様策定とエラー調査を任せ、Claude CodeとGitHub Copilotにはコーディングの重要な部分を委ねました。Replitのクラウド環境で素早くプロトタイピングを行い、CursorのAI支援機能で効率的にコードを洗練させていく。この開発スタイルにより、動作可能な状態を数日で完了させることができました。

3.2 直面した壁と突破

最初の3日間でPCブラウザ環境での基本実装は順調に進みました。ウォレットコネクトは想定通りに動作し、USDC送金も成功。「これはいける」― そう確信した私たちを待っていたのは、モバイル環境という大きな壁でした。

画面遷移がうまくいかない。接続が不安定になる。PCでは問題なく動作していた機能が、モバイルでは期待通りに動かない。ウォレット接続を伴うEVMのモバイルdApps開発におけるUI/UXの構築には一筋縄ではいきませんでした。

そこで、このHackersonのもう一つのテーマとなっていたFarcaster Mini App化への挑戦を決めました。しかし、この決断は新たな課題を生み出します。Farcasterの新規アカウント作成、環境変数の設定、Mini Appsへの登録プロセス ― 各ステップで正直原因不明の数々のエラーに提出期限ギリギリまで苦闘しました。

3.3 技術的発見

最も価値ある発見は、技術的な詳細にありました。

Coinbase Walletが持つ二つのアドレス体系 ― EOA(Externally Owned Account)とSCA(Smart Contract Account)の違いを深く理解できたことは、今後の開発における重要な資産となりました。Base Networkでは特定のウォレットタイプしか利用できないという制約も、実際に手を動かして初めて実感できた知見です。

さらに、x402プロトコルの検証では興味深い発見がありました。HTTP 402ステータスをMiddlewareとして実装することで、「認証」と「決済」を統合的に扱える可能性が見えてきました。決済が完了していないリクエストは自動的にブロックされ、完了後にのみ処理が進む ― このエレガントな仕組みは、今後のWeb3アプリケーション開発における標準パターンになる可能性を秘めています。

振り返ってみると、最初からもっと明確な実装対象の定義をすべきでした。期間中連日準備されていたオフィスアワーをつかい、設計に対する技術的な解決策の模索を行っていれば、良かったと反省しています。